日本国宝展ー祈り,信じる力ー@東京国立博物館 再び

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本日が最終日の日本国宝展である.

124日にまたしても出かけてしまった.

出品目録を見る限り,前期と後期で出品物ががらりと変わるのである.

12月はあまり特別展が開かれない時期なので,ここで行かねば,今年はもうないかもしれないという気持ちもあった.

前回の感想はこちら→日本国宝展-祈り,信じる力-@東京国立博物館

入場制限があり,すぐに入場とはいかなかったが,それでも510分ほどである.

さっそく感想を書いてみる.


第一章 仏を信じる

直刀 号丙子椒林剣

聖徳太子の御剣として四天王寺に伝わっているとのこと.

飛鳥時代のものということで,可能性はあると思われる.

きちんと保管すれば,当時の輝きを残したままでいられることに驚いた.


大般若経 巻二百五(和銅五年十一月十五日長屋王願経)

長屋王が文武天皇の冥福を祈って書写させたものとのこと.

長屋王の妃である吉備内親王(文武天皇と吉備内親王は兄妹)の意を受けて作成したと推測されているらしい.

長屋王の父,高市皇子の死を待って,文武天皇が即位したと考えている私にとってはどのような心境で作成するにあたったか考えてしまう(詳しくは高松塚・キトラ古墳孝⑥ー高松塚古墳の被葬者ーへ).

しかも,長屋王自身も悲劇的な最期を迎えることになるのだ.


法華経(久能寺経)

待賢門院周辺で作成されたと考えられているとのこと.

待賢門院といえば,崇徳天皇の母であり,その後の歴史を揺るがせる一因でもあった方であるが,何を思って作成したのか気になるところである.


華厳五十五所絵巻

善財童子の求法の旅を描いている.

先月の「西大寺」やこの特別展に出品されている「安倍文殊院」の善財童子と御縁を感じるが,どのような方なのか知らなかったため,勉強になった.

絵巻であれば字が読めなくても内容を理解できるということを身をもって知った.

仏教の布教に盛んに用いられたということがよく分かる.

善財童子は華厳経に描かれている方であった.

華厳経といえば,聖武天皇=東大寺(詳しくは知ってるつもりの東大寺ー聖武天皇と光明皇后ーへ)である.

もちろん,この絵巻は東大寺の所蔵物である.


第二章 神を信じる

土偶

今回は土偶目当てでやってきたのである.

縄文のビーナスと合掌土偶は前回すでに出品されていた.


縄文のビーナス

マスコットキャラクターのような愛らしい姿ではあるが,きちんと女性の曲線美をとらえているように思われる.


縄文の女神

スレンダーな土偶である.

背丈はかなり大きい.

この土偶が埴輪たちの中に混ざっていたとしたら,土偶だと見分けられるかどうか自信がない.


仮面の女神

逆三角形の仮面をかぶったような土偶.

仮面土偶は他にも見つかっているが,本品が一番優美な姿とのこと.


中空土偶

この土偶は中空で薄く作られているところが素晴らしいとのこと.

数ある中空の土偶たちの中で最大のものらしい.

外側の模様も他の四体より優れていることが見て取れる.


合掌土偶

他四体は立ち姿であるが,この土偶は体育座りの体勢である.

何度か見たことのある土偶(詳しくは日本発掘-発掘された日本列島2014-へ)であるが改めて他と比べてみるとこの土偶の鑑賞ポイントがよく分かる.


第三章 文学,記録にみる信仰

日本書紀 巻第二十四

蘇我氏による山背大兄王の滅亡から大化の改新(乙巳の変)ぐらいまでが展示してあった.

中大兄皇子と中臣鎌足の蹴鞠の話や蘇我倉山田石川麻呂が震えながら文を読み上げるくだりなど,ああ,ちゃんと書いてあるんだなあなどと思ってしまった.

もちろん当然のことである.


土佐日記 藤原為家筆

当時は紀貫之自筆の土佐日記が残っていたらしく,奥書には「一字違わず書き写した」と書かれているらしい.

為家の父,定家の写本などと比べても,忠実に書写されているということが既に分かっているとのこと.


第四章 多様化する信仰と美

観楓図 狩野秀頼筆

ついつい先月の吉野の紅葉を思い出してしまう.

この観楓図は人が主体で当時の風俗がよく分かる.

京都の高雄の情景とのことだ.


以上である.

第五章は展示入れ替えがほとんどなかったので割愛した.

しかし,今回もマナーの悪さに辟易した.

虚空菩薩像や普賢菩薩像などの仏画の前には白線が引かれており,その外から鑑賞するよう貼り紙があったのだが,お構いなしの諸先輩方が多数見られた.

館員の方?による注意の声も聞こえてはいたが,聞こえない間もあり,注意してくれないかなあと振り返ってみると,館員どうしで談笑されていたようで・・・.

トーハクの特別展は非常におもしろいものが多いのだけど,それ以外の部分には首をかしげたくなる部分も多い.


物販コーナーも大盛況のようで,前期にあったものが既に無くなっていたり,売り切れたりしていた.


出品物については,「第二章 神を信じる」の入れ替えがあまりなかったのが残念だった.

国宝は仏教関係が多いのだろうが.

次回のテーマはやはり「絵画」でやってほしいと思う.

宗教画よりも風景や植物などが好みなので.


最後に上野公園の銀杏を一枚.

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吉野は紅に染まっていたが(詳しくは吉野への旅二日目 ~大峰奥駈道と吉野山~),こちらは黄色.

もう,落葉気味であるし,あいにくの天気であったが充分楽しめた.


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by Allegro-nontroppo | 2014-12-07 19:08 | 博物館
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