アマテラス及び神宮考⑥ -神宮に祀られる神々-

神宮といえば内宮(皇大神宮)及び外宮(豊受大神宮)のみが知られているが、この二つを中心に十四の別宮と百九の摂社、末社、所管社で構成されている。
 皇大神宮の祭神アマテラスについては既にふれたから(詳しくはアマテラス及び神宮考① -記紀・神代とアマテラス-参照のこと)、今回は豊受大神宮と別宮に祀られる神々について確認していきたい。




まずは豊受大神宮祭神トヨウケビメである。
 トヨウケビメの坐する豊受大神宮では今でも、毎日、朝夕の二度、アマテラスに食事を供する「日別朝夕大御饌祭」がとりおこなわれている。
このトヨウケビメとはどのような神であろうか。
 古事記ではトヨウケビメはイザナミの尿から生まれた和久産巣日神の御子神で食物と関わりの深い殖産、豊穣、農業などに加え、商売繁盛、縁結びなど多くのご神徳がある。
また、名前にある「ウケ」は食物の意味で、食物神オオゲツヒメ、ウケモチノカミなどと同様に稲荷神と習合し、同一視されるようになった。
 また、「丹後国風土記」では、老人に羽衣を隠されて天に帰れなくなった天女がトヨウケビメあると記されている。
先の記事(アマテラス及び神宮考② -記紀・人代(崇神天皇、垂仁天皇)と神宮-)に豊受大神宮の鎮座についてとそれに関する疑問についてはふれたのでここでは割愛するが、前回の補足として、天橋立に近い籠神社が元々の御鎮座地であったと言われていることを追記しておく。

 次に豊受大神宮の別宮をみていこう。

 まずは豊受大神宮宮域内に鎮座する多賀宮からいってみよう。
多賀宮の祭神は豊受大御神荒御魂で豊受大神宮の創祀とともに創建されたと考えられる豊受大神宮の第一別宮である。
ちなみに荒御魂とは特に顕著な神威を発揮する神の御魂の働きを言う。
これに対して神の御魂の穏やかな働きを和御魂といい、この和御魂から幸御魂と奇御魂が派生するとされている。
豊受大神宮正宮の南方に位置する小高い丘に鎮座することから古くは高宮と表記された。
年中恒例の祭りの際、必ず正宮に引き続いて祭が行われる。

 次は土宮である。
祭神は大土乃御祖神でこちらも豊受大神宮宮域内に鎮座する。
大土乃御祖神は農耕に重要な大地を司る神であり、古より山田原の鎮守の神として祀られていたと考えられている。
崇徳天皇の大治三年に宮川の氾濫を防ぐ守護神として別宮に加列された。

 風宮も豊受大神宮宮域内に鎮座している。
祭神は級長津彦命と級長戸辺命で風や雨など天候を司る神である。
皇大神宮の風日祈宮と一緒に蒙古襲来の際、神風を吹かせたご神徳により正応六年に別宮に昇格した。

 最後に、豊受大神宮別宮で唯一、その宮域外に鎮座する月夜見宮である。
祭神は月夜見尊と月夜見尊荒御魂である。
ツキヨミはアマテラスの弟神で三貴子の一人であるが、記紀においては三柱の中で最も記述の少ない神であり、夜の食国を統治する神である。

 次に、皇大神宮別宮をみていこう。

 まずは皇大神宮宮域内に鎮座し、皇大神宮第一別宮である荒祭宮である。
祭神は天照坐皇大御神荒御魂で皇大神宮の創祀とともに創建されたと考えられている。
こちらも年中恒例の祭りの際、必ず正宮に引き続いて祭が行われる。

 次に皇大神宮宮域外に鎮座する月讀四宮である。
月讀宮は月讀尊、月讀尊荒御魂宮は月讀尊荒御魂、伊佐奈岐宮は伊弉諾尊、伊佐奈弥宮は伊弉冉尊を御祭神としている。
月讀尊は豊受大神宮別宮の月夜見宮、月夜見尊と同じで、伊弉諾尊はアマテラスやツキヨミの父神、伊弉冉尊が母神である。
続日本紀によれば宝亀3年にイザナギ・イザナミおよびツキヨミが祟ったため官社(朝廷直轄の神社)として祀ることになったという。

 次は、神宮より遠く離れた滝原に鎮座する瀧原宮・瀧原竝宮である。
どちらも祭神は天照坐皇大御神御魂である。
瀧原竝宮についてはアマテラスの荒御魂を祀っているのではないかとする説もある。
「天照大御神の遙宮」と呼ばれる。
瀧原宮・瀧原竝宮の祀られている地は倭姫命巡幸の際、一時アマテラスが鎮座した地であり、そののち、伊勢に遷座した後もアマテラスを奉斎している。

 次も同じく「天照大御神の遙宮」と呼ばれる伊雑宮である。
祭神は天照坐皇大御神御魂である。
倭姫命が皇大神宮鎮座の後、御贄地を定めるため志摩を巡幸した際、伊佐波登美命が奉迎し、志摩市磯部町の地に創建し、アマテラスの御魂を祀ったのがはじまりである。
宮域南に隣接するご料田で行われる「磯部の御御田」は日本三大田植祭の一つに数えられる。

 次は、皇大神宮宮域内に鎮座する風日祈宮である。
祭神は豊受大神宮宮域内に鎮座する風宮と同様、級長津彦命である。
毎年、五月十四日と八月四日に斎行される風日祈祭と関係が深い別宮である。
昔は風雨の順調の祈りがその期間中約三ヶ月にわたって日々捧げられた。

 最後に皇大神宮宮域外に鎮座する倭姫宮である。
祭神は倭姫命である。
神宮司庁と宇治山田市(現在の伊勢市)が倭姫命をまつる別宮の創立を請願して、大正十年一月四日、皇大神宮別宮として当宮のご創立が許可され、同十二年十一月五日に鎮座祭が執り行われた。
[PR]
by Allegro-nontroppo | 2013-11-17 00:00 | アマテラスと伊勢
<< 国譲り-天津神-の神社訪問記 アマテラス及び神宮考⑤ -記紀... >>