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開館50周年記念 美の祝典Ⅲ 江戸絵画の華やぎ@出光美術館

「開館50周年記念 美の祝典Ⅲ 江戸絵画の華やぎ」を鑑賞しに出光美術館へ出かけた.

一番の目的は「伴大納言絵巻」の下巻を鑑賞するためである.

Ⅲ 江戸絵画の華やぎがはじまって最初の土曜日に出かけたが,覚悟していたほど人は多くなく,余裕をもって鑑賞することができた.

また,おそらくⅠ やまと絵の四季を鑑賞した時に割引券を頂いていたらしく,たまたま前日に財布から発見されたので半額で鑑賞させて頂いた.

お得であった. 


更衣美人図 喜多川歌麿

扇であおぎながら着替える女性の日常の一場面を切り取ったものであるが、インパクトの強い作品であった.

さすがは喜多川歌麿である.


春秋二美人図 葛飾北斎

扇を手にポーズをとる春の美人と虫かごを手にした秋の美人が描かれている.

春といえばピンク色をイメージするのだが,春の美人の着物がピンクでないことにまず驚いた.

そうでありながら,この美人が春を象徴していることがすぐわかるというのが驚きである.


南蛮屏風

南蛮船や町を歩く南蛮人が描かれている.

異人として,皮膚の色が異なる人々も描かれているのだが,明らかに皮膚の黒い人々は白い人々につかわれていることが読み取れる.

当時の人の推察力がすごいのか,異人たちがあからさまだったのかは判断がつかない.


四季日待図巻 英一蝶

正月・五月・九月の特定の日に人々が集まり潔斎して終夜こもって日の出を礼拝する神事が時代を下ると夜通し遊ぶ遊興となっていったという.

なんのための神事だったのだろう.


伊勢物語 武蔵野図色紙,若草図色紙 俵屋宗達

伊勢物語でも有名な場面を描いたものだと思うが武蔵野の場面は読めていない.

こういうときに勉強できていないことを後悔するのだ.

私の怪しい記憶によれば,若草図は男とその妹を描いた場面ではなかろうか.

そう思ってみるとまた面白い.


紅白梅図屏風 酒井抱一

紅白梅図屏風といえば尾形光琳を思い浮かべるのだが,あの屏風から着想を得ているのだろうと思う.

ただしこの紅梅の背景は銀で覆われている.

梅は夜に薫るというが,その情景を描き出しているようである.

酒井抱一の波図屏風も思い浮かべてしまう作品であった.


風神雷神図屏風 酒井抱一

一度,見たことがあったのだが,テレビ番組「美の巨人たち」で紹介されていた特徴など見ることができてよかった.


十二ヵ月花鳥図貼付屏風 酒井抱一

十二ヵ月の花鳥図が貼り付けられた屏風なのだが,特に六月の紫陽花が可愛らしい色のグラデーションでポップさがあり,目を引いた.


四季花木図屏風 鈴木其一

私の思う琳派作品とは少し異なっていたのが印象的であった.

多少,狩野派の要素を感じるような….

鈴木其一の作品はあまり見たことがないので,今後もっと見ていきたい.


伴大納言絵巻 下巻

中巻は見ることができなかったのが残念である.

下巻では伴善男が連行されていくわけであるが,彼の姿は牛車に乗り込んだ袂しか確認できない.

そう考えると上巻の謎の男は伴善男ではないような気がする.

作者は伴善男の姿をあえて描かないという意図があったのではなかろうか.

そう考えると「伴大納言絵巻」と題しておきながら,姿は一切描かれないという絵巻になるわけで,また,何かしらの意図を感じないでもない.


その他,禊図屏風 伝尾形光琳や八ッ橋図屏風 酒井抱一など,既に鑑賞したことのある作品も展示されていた.

この美の祝典では出光美術館の所蔵品のすごさを感じさせていただいた.

また機会があれば是非,伴大納言絵巻 中巻も鑑賞してみたい.


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by Allegro-nontroppo | 2016-06-26 22:22 | 博物館

尾形光琳没後三〇〇年記念 光琳とその後継者たち@畠山記念館

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「尾形光琳没後三〇〇年記念 光琳とその後継者たち」を鑑賞に畠山記念館に出かけた.

畠山記念館は初めてだったが,茶室などに飾られているように展示できるように設計されており,画家の意図したように鑑賞できるのが素晴らしいと思う.

今回は列品解説に立ち会えたので,それらも含めて印象に残った陳列品について記しておく.


禊図 立林何帠筆

尾形光琳の「禊図」の構図を横長に展開しているとのことである.

「伊勢物語」第65段を絵にあらわしている.

光琳の「禊図」をどこかで鑑賞させて頂いたと記憶しているが,構図の縦横で川の流れの勢いが違うような気がする.


立葵図 尾形乾山筆

尾形兄弟が好んでモチーフとした立葵図である.

写実的というより,どこかデザイン画的である.

また,上部に書かれた漢詩から,立葵が牡丹や芍薬に並ぶほど美しいと乾山が考えていたことが分かるのが,面白い.


共筒茶杓 銘 寿 尾形光琳筆

寿の銘と中国では吉祥文とされる蝙蝠と霊芝が描かれている.

光琳は工芸品も手掛けていたとは知っていたが茶道具までも作っていたのは知らなかった.


紅葵花蒔絵硯箱 尾形光琳作

光琳の好んだ立葵と八重葎が全体を覆っている.

立葵の蕾は螺鈿で満開の花は錫で表されているというのが,本阿弥光悦の手掛けた硯箱を思い出させる.


立葵図 鈴木守一筆

鈴木守一は鈴木其一の長男ということである.

尾形乾山と「立葵」という同じモチーフながら写実的で葉が裏返っていたりと,印象が異なっており楽しい.

白梅模様小袖貼付屏風 尾形光琳筆

光琳梅が配された小袖を屏風に貼付られている.

実際に身にまとったときに,帯からも枝が伸びているように描かれているというところが光琳の凄さではないかと思う.


四季花木図屏風 渡辺始興筆

渡辺始興の名はテレビ番組「なんでも鑑定団」などでよく聞いてはいたが,実際にこの目で鑑賞したのは初めてである.

琳派の画家とは知らなかった.

確かにたらしこみなどの技術が見受けられるし,右から左へと季節が移り替わるように植物が配置されているのは琳派ぼいと思う.

本草学の知識があったそうでリアリティがある.


以上,概略である.

今年は昨年ほどは琳派作品が見られないと思っていたので,この鑑賞の機会が嬉しい.

後期展示でも素晴らしい作品が登場するようで,是非見に行きたいがちょっとスケジュールが厳しそうである.


追記

庭園も素晴らしかった.

季節によって様子も変わるのだろうか.

機会があったら見てみたい.

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by Allegro-nontroppo | 2016-04-24 22:25 | 博物館

特別展 琳派400年記念 琳派と秋の彩り@山種美術館

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「特別展 琳派400年記念 琳派と秋の彩り」を鑑賞しに山種美術館に出かけた.

山種美術館を訪れるのは初めてである.

山種美術館は近代以降の日本画中心の展示が多いので,機会がなかったがやっと訪れる機会がやってきたのである.

以下,印象に残った作品の概要である.

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第1章 琳派の四季

鹿下絵新古今和歌巻断簡 俵屋宗達()・本阿弥光悦()

元々は巻物だったものを断簡としたもので,展示部分は巻頭にあたるとのことである.

下絵の鹿が金銀泥で描かれており,可愛らしいしぐさながらも神性を感じさせられる.

全ての部分を見てみたいものである.


槙楓図 伝 俵屋宗達

曲がりくねった幹をもつ槙と楓が描かれている金屏風である.

向かって左側六分の一にはほとんどなにも描かれない空白がある.

この構図はのちの燕子花図や紅白梅図屏風等を連想させる思い切ったデザインのように感じられる.


芦鷺図 伝 俵屋宗達

伊年印があるので,俵屋宗達の工房で作成されたことには間違いないのだろう.

芦の茂みに立つ鷺はユーモラスな表情をしている.

芦や鷺の立つ水辺はたらしこみで表現されており,琳派らしい作品であった.


松梅図 尾形乾山

尾形乾山の作品を見ているとどうしても尾形光琳のことを考えずにはいられない.

今回は光琳の作品の展示はなかったので,兄弟ならんでの展示もなかった.

乾山の描く梅は光琳が指導しただけあって,光琳梅である.

たらしこみも使われており,やはり光琳の影響を感じてしまう.


老松立鶴図 中村芳中

ユーモラスな表情の鶴とたらしこみの多用された松でほのぼのとした風景が描かれており,見るものをほっこりさせてくれる.

このような感情を抱かせてくれる鶴や松の絵はめずらしいのではないだろうか.


菊小禽図 酒井抱一

琳派の核となる三人のうちの一人,酒井抱一の作品である.

菊や小鳥の構図がおもしろい.

酒井抱一の作品は屏風のように大きなものより,掛け軸サイズくらいまでの作品のほうが良さが出ているように思う.


秋草図 酒井抱一

酒井抱一の作品を思いだすとき,そこには必ず月があるように思う.

中秋の名月であろうか,白抜きの満月が描かれている.

この作品には朝顔が描かれているのだがこの朝顔は,ずっと見たい見たいと熱望しているせいか鈴木其一の朝顔図屏風の朝顔に似ているように思えてくる.

鈴木其一は酒井抱一の弟子であるから,何かしら影響があるのかもしれない.


秋草鶉図 酒井抱一

秋草や鶉に注目すべきところだろうが,気になるのは上部の黒い月である.

この月の彩色には銀も使われているそうだ.

この黒と銀で明るい月を表そうとしているのがおもしろい.


月梅図 酒井抱一

梅の絵というと紅白梅図屏風に代表されるような光琳梅を思わずにいられない.

この月梅図は白抜きの満月を背負ったほっそりとした,しかし生き生きと枝を伸ばしている紅白梅である.

花は光琳梅と言ってもよいと思うが,どうどうと立ちそびえる紅白梅図屏風の梅とは異なるこの月梅図は酒井抱一にしか描けないのだろう.


仁徳帝・雁樵夫・紅葉牧童図 酒井抱一

この作品は三つの掛け軸を一つの作品としている.

民の竈から煙がのぼっていないことに気付き,一時期,税を免除し,倹約に努めたという仁徳天皇の逸話を元にしているとのことである.

私はこの逸話を神武天皇や雄略天皇と混同してしまう.

神武天皇の国見や雄略天皇の堅魚木の逸話あたりで混乱しているのだろうと思うが,なかなか正確に覚えられないものである.


寿老・春秋七草図 酒井抱一

寿老の図,春の七草図,秋の七草図の三つで一作品を構成している.

中央で山羊に乗って振り返る寿老は何か逸話があるのだろうか.

両脇の春秋の七草図によって遠近感を感じる.

何より七草は生命力を感じるほど美しい.


牡丹図 鈴木其一

個人的に鈴木其一の作品は色づかいが好きだ.

琳派も酒井抱一から鈴木其一までいくとデザイン性よりも写実性が強くなっていくような気がする.

画面いっぱいの牡丹の足元にそっと咲くたんぽぽが可愛らしい.


2章:琳派に学ぶ

満月光 加山又造

千羽鶴 加山又造

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加山又造の作品は一目見ただけで彼の作品ではなかろうかと思うくらい特徴的だ.

あまり私の好みではないのだが,忘れられないインパクトがある.

そして,彼も琳派の強い影響を受けていることがはっきりと分かる画風である.


3章:秋の彩り

秋彩 東山魁夷

川端康成に「京都は今のうちに描いてもらわないと…」と言われたことがきっかけで作成されたそうで,各四季を描いた四部作のうち秋の絵である.

百人一首発祥の地とされる小倉山の秋を描いたという作品である.

赤と黄色に染まった木の向こうに青い小倉山がそびえているのだが,現実にありそうな風景でいつか見てみたいと思わせてくれる.


奥入瀬()  奥田元宋

輝く赤の美しい紅葉の風景である.

奥入瀬とのことではあるが,この世の光景とはとても思われない.

こんなに美しい圧倒的な紅葉の図は初めて見たかもしれない.
在原業平の「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」を思い出してしまった.
描かれている地や川に紅葉が浮いているわけではないのだが。


以上が,概要である.

琳派関係の特別展ではなかなか出会えないタイプの作品が多く,楽しめた.

また,明治時代以降の作品はあまり鑑賞してこなかったが,いいなと思える作品にも出会えたのもよかった.


今年は琳派YEARであるので,まだまだ琳派作品を楽しめそうである.

時間を作っていきたい.


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by Allegro-nontroppo | 2015-09-21 20:00 | 博物館

尾形光琳300年忌記念特別展「燕子花と紅白梅」―光琳デザインの秘密―@根津美術館

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今回は約1月前に訪れた特別展についてまとめておく.

一番好きな絵は何かと問いかけられたならば,迷わず尾形光琳筆「燕子花図屏風」と答える.

「燕子花図屏風」を初めて見た時の,あの表現できない感情を超える作品にはいまだ出会ったことない.

とは言え,しばらく御無沙汰ではあった.

「燕子花図屏風」は現在,根津美術館は所蔵しており,毎年,燕子花の季節には公開してくれる.

だいたい,GW前後の公開期間である.

今年は数年ぶりに見に行こうと思っていたが,5月いっぱいまで公開してくれていると勘違いしていた.

GW翌週にそうではないことに気づき,慌てて休みをとって見に行ったのである.

今年は5月が忙しい時期でなくて本当によかった.


毎年,根津美術館は「燕子花図屏風」を公開してくれるけれども今年は特別である.

尾形光琳300年忌記念特別展「燕子花と紅白梅」―光琳デザインの秘密―と題してこちらも尾形光琳筆「紅白梅図屏風」を「燕子花図屏風」と並べて展示するというのだ.

琳派最大の巨人,尾形光琳の作品は海外でも人気が高く,かなりの作品が国外に流出してしまっている.

日本国内にあれば国宝指定されたであろう作品もごろごろあるという.

そのような事情もあって,光琳作品の中で国宝指定されているものといえば,「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」の2つだけだ.

ちなみにこの二作品が同時に展示された最後の記録は56年前だという.

これを逃したら,へたすると生きているうちに2つ同時に見ることは叶わないかもしれないという危機感から出かけることにしたのだ.

ちなみに「紅白梅図屏風」はMOA美術館所蔵品であり,毎年2月ごろ同美術館で公開されているようだ.

今年は根津美術館と同様,尾形光琳300年忌記念特別展「燕子花と紅白梅」として,2作品を同時公開したようだ.

さて,以下,各作品の感想である.


第一章 燕子花図と紅白倍図―「模様」の屏風の系譜

蔦の細道図屏風 伝俵屋宗達筆,烏丸光広賛

この屏風,右隻と左隻を入れ替えても絵がつながるようになっているということで,構図が循環するようにデザインされているそうだ.

現代アートに通じるものがありそうである.

実際には賛があるから,入れ替えはできないだろう.

その賛によれば,伊勢物語「東下り」の一場面ということである.


燕子花図屏風 尾形光琳筆

「燕子花図屏風」を見るのは何回目だろうか.

さすがに初見の感動を再び味わうことはできないが,それでも飽きることはない.

ところで,この「燕子花図屏風」には同じパターンが繰り返されているということは,これまでの展示解説などで知っていたが,具体的にどの部分かというのがいまいちよく分からなかった.

しかし,今回は具体的に解説があったので,初めてなるほどと思うことができた.

新しい発見は何度見てもあるものである.

この作品も「蔦の細道図屏風」と同じく伊勢物語の「東下り」に登場する「ら衣つつ慣れにしましあれば るばる来ぬるびをしぞ思ふ」からと言われている.


紅白梅図屏風 尾形光琳筆

今回の特別展のウリは「紅白梅図屏風」を「燕子花図屏風」と並べて見ることができるというものであったけれども,あの混雑ではとても無理であった.

「紅白梅図屏風」がどのようなものか,初めて知ったのはテレビだったと思うが,この構図には度肝を抜かされたのをよく覚えている.

屏風などは狩野派絵師のもの程度しかよく知らなかったのである.

中央の流水を黒で描き,S字の波が金色というのは衝撃としか言いようがない.

両サイドの梅は光琳梅と呼ばれるデザインの花が咲いており,その幹や枝は琳派特有のたらしこみで描かれている.

まさに,光琳にしか描けない屏風と思える.


孔雀立葵図屏風 尾形光琳筆

孔雀の背後の梅は「紅白梅図屏風」の白梅を思わせる光琳らしい梅である.

ところで去年の多分,7月ぐらいに花をつけたある植物をみかけたのだが,名前を知らないので気になっていた.

今回この屏風を見て,それが立葵であったことが分かった.

言い訳させてもらえば本などで名前は知っていたのだが,実物はそのとき初めて見たのだ.

屏風の立葵の花はかなりデフォルメされているのだが,それでもあの時の花だとはっきり分かるのは単純にすごいと思う.


夏草図屏風 尾形光琳筆

この屏風はやはり画面の対角線上に流れるように夏草を配置しているところである.

この屏風には先の展示にも出てきた立葵や燕子花も配置されている.

立葵も燕子花もこちらの屏風のほうが写実的に描かれている.

特に燕子花は意識して「燕子花図屏風」の花弁を大きく,花のつく位置を低く描いていたのだなと思わせてくれる.


第二章 衣装模様と光悦謡本―光琳をはぐくんだ装飾芸術

燕子花図(小西家文書) 尾形光琳筆

小西家文書とは光琳の息子が養子に行った小西家に伝わった尾形光琳関係の資料ということである.

この燕子花図は「燕子花図屏風」とよく似た大ぶりの花の形をしている.

しかし,葉はたらしこみで彩色されており,花弁も「燕子花図屏風」の群青とは違い,赤みがかった紫色をしている.

どのような目的で描かれたのか気になる作品である.


雁金屋衣装図案帳(小西家文書)

尾形光琳の生家である雁金屋は後水尾天皇の中宮・東福門院の御用を勤めるほどの呉服屋であったという.

その雁金屋の図案ということで,光琳のデザイン性が育まれた源の一つであると思うと非常に興味深い.


扇面数貼付屏風 俵屋宗達筆

この作品は本当に宗達らしいと思う.

もしかしたら,以前に見たことがあるかもしれない.

今回の扇の絵は草花ばかりだが,扇に源氏物語の一場面等々が描かれたもの(宗達の作品ではなく工房の作品かもしれない)も見た記憶があるので,得意としていたのかもしれない.

雅な作品である.


第三章 団扇・香包・蒔絵・陶器―ジャンルを超える意匠

白梅図香包 尾形光琳筆

蔦図香包 尾形光琳筆

仙翁図香包 尾形光琳筆

これらの香包は広げた時はもちろん,香を包んでいるときや包を開いていくときに見える構図まで意識して描かれているらしい.

光琳の器物関連の作品には残念ながら国宝指定はないが,本人は得意としており,また当時の人々も評価していたということがよく分かる.


銹絵梅図角皿 尾形乾山作・尾形光琳筆

銹絵菊図角皿 尾形乾山作・尾形光琳筆

琳派に関する展覧会で行く前から楽しみしてしまうのは尾形兄弟の合作である.

尾形乾山は光琳の弟であるが,ついつい兄関係で苦労したのではないかと思ってしまう.

しかし,光琳は乾山に絵の手ほどきをしたのではと思わせる帳面(見た記憶はあるのだがはっきり思い出せない.もういちど見たいものだ.)も残っているし,合作も相当数存在しているので,仲のいい兄弟であったのだろう.

そういうことを想像しながら鑑賞できるのが合作のいいところだなと思う.


その他,燕子花の季節に根津嘉一郎が催した茶会で使用した茶器や殷時代の青銅器などの展示もあったが,多少展示は入れ替わっているにしても毎年のことなのでざっくりと見て回った.

当日の混雑具合は入場時に並びはしなかったが,美術館は大混雑であった.

先日の鳥獣戯画(記事はこちら→)と比べると,鳥獣戯画の方が館内は整然としていたと思う.

もちろん,こちらはメインが屏風ということもあって近くでみるより,少し離れたほうが構図を見ることができるということもあったであろう.

絵巻は最前列で見ないと見えないので仕方ない.

根津美術館はガラスケースを定期的に磨いてくださっているようで,気持ちよく作品を眺めることができるのが素晴らしい.

こういった努力をどこの博物館・美術館でもやってくれたらと思わずにはいられない.

作品群を見終わったあとは庭園に出て,本物の燕子花を眺めた.

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もう,花も終わりかけである.

最後に記事の最初に挙げたレプリカの写真を撮らせて頂き,図録を購入後,帰宅した.
入場時には待ち列はなかったものの帰り間際にはチケット購入列ができていた.
待ち時間は10分程だろうか.
鳥獣戯画展を経験するとたいしたことないようにも思えるのだが,平日のことなので大盛況といえるだろう.
例年より人出が多いかもしれない.

しかし,今年は尾形光琳300年忌の年であり,琳派発祥400年にあたるとはすごい年だなと思う.

前回,「燕子花図屏風」を見に行ったのは,メトロポリタン美術館から「八橋図屏風」がやってきた「KORIN展」だったけれども,そのとき,図録を購入していなかったので同時購入させて頂いた.

「八橋図屏風」は本当は2011年に根津美術館で公開されるはずであったけれど,震災の影響で,翌年に延期されたのをよく覚えている.

あれから,3年,長いのか,短いのか.


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by Allegro-nontroppo | 2015-06-15 19:23 | 博物館

物語絵―<ことば>と<かたち>@出光美術館

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物語絵―<ことば><かたち>を鑑賞に出光美術館にでかけた.

各時代の古典を理解すれば,各時代の文化のみならず,政治情勢や民俗,風習などの理解に役に立つと考えているが,長編におよぶことも珍しくない上,現代語ですらなければ平易に読むことは叶わない.

そのようなわけで手軽に誰でも楽しめる物語絵を鑑賞させていただこうと出かけたわけである.

さっそく,感想を書いておきたいところであるが,その前にお礼を述べておきたい.

前売り券や招待券などは持っていなかったので,受付で当日券を購入しようとしたところ,チケットが余っているからと頂いてしまった.

本当にありがとうございました.

いいものを見せて頂いたと思っております.

充実した休日の午後を過ごせました.


それでは感想を記しておく.


1章 物語絵の想像力―<ことば>の不確かさ

雪月花図 冷泉為家 江戸時代

右幅は源氏物語「若菜上」の一場面,左幅は枕草子第二八〇段である.

私は源氏物語と枕草子のどちらとも,きちんと理解しているとはとても言えないが,単純にエピソードとしては枕草子第二八〇段が好きなのでじっと見入ってしまった.

雪の積もった日に中宮定子に「香炉峰の雪」とはいかなるものかと問われた清少納言が白居易の詩になぞらえて御簾をまきあげるというもので清少納言の気持ちがストレートに伝わってくる有名な段ではないかと思う.

この絵は巻き上げようとしちる御簾の向こうに香炉峰が見えてきそうな構図が気に入ってしまった.


第2章 性愛と恋―源氏物語を中心に

源氏物語図屏風 岩佐勝友 江戸時代

源氏物語全54帖のそれぞれ象徴する場面を書きだした巨大な作品である.

人物の衣装や調度品などもきらきらしく,源氏物語の前半のイメージとマッチしていた.

私がまず気になったのは「須磨」では雷神が描かれているところである.

今まで見てきた源氏物語絵でこのように雷神が直接描かれているのを見たことはない.

また「野分」などの段で風神が描かれているなども見たことない.

江戸時代になると「風神雷神図屏風」に代表されるように雷神・風神の絵が多くなるように思うのでその影響であろうか.

「須磨」以外にも「花宴」で源氏が朧月夜を抱擁するなど,この屏風には新たな表現があるようである.


3章 失恋と隠遁―ここではない場所へ

伊勢物語 富士山図屏風 俵屋宗雪 江戸時代

今回,琳派作品もいくつも出品されているが,唯一,気に入ったのはこの作品である.

伊勢物語で富士山といえば「東下り」の一節であろうが,この富士山が本当によい.

語彙力が足りず表現できないのが悔しいが,例えば葛飾北斎の富士山とは違うよさがある.

堂々としていながらやさしく見守ってくれそうだ.

また,在原業平(本文中は男であるが)は貴族らしい容貌で,表情から富士山に感嘆しているのがよく分かる.

従者は従者らしく,ただし童はついつい富士山を眺めながらといった様子が伝わってくるのも気に入ってしまった.


伊勢物語 住吉の浜図屏風 絵/伝 狩野山楽 賛/伝 松花堂昭乗 桃山時代

この絵は水墨で描かれており,どことなく中国風であるがこの業平(もちろん,本文中は男であるが)も本当に貴族らしい容貌であるために伊勢物語の一場面と分かる.

松花堂昭乗と伝わる賛もあるおかげであろう.

変則的であるがなかなか面白い.


平家物語 小督図屏風 狩野尚信

平家物語 巻六では小督局は高倉天皇の寵姫となったが中宮 建礼門院徳子の父である平清盛に疎まれて隠棲することになってしまう.

しかし,小督の琴の音をたよりに天皇の使者が訪ねてやってくるという場面だそうだ.

情景に色彩が使われておらず,水墨技法を使い,隠棲の侘しさを感じさせる.


第5章 荒ぶる心―軍記物語と仇討

曽我物語図屏風 江戸時代

日本三大仇討の一つ「曽我物語」を題材としている.

私は概要程度しか知らなかったのだが,数々のエピソードが屏風内にちりばめられているようである.

知っているエピソードもいくつか見当たり興味深く鑑賞した.


第6章 祈りのちからー神仏をもとめて

伊勢物語 禊図屏風 伝尾形光琳 江戸時代

「恋せじと御手洗河にせしみそぎ神はうけずもなりにけるかな」という歌の場面を表したものである.

私の知る禊のイメージとは異なっているが江戸時代はこのように執り行われていたのであろうか.

この絵からはあまり光琳らしさは伝わってこないが,在原業平(もちろん,本文中は男であるが)の背中から,苦悩が伝わってくるようなところは素晴らしい.


以上が印象深かった作品である.

全体を通して感じたのは物語絵については琳派よりも狩野派の方が私の好みかもしれないということである.

あまり,狩野派は好みでないと思っていたが新しい発見である.

そういえば,「物語絵」をテーマにしているにもかかわらず,土佐派の作品を見かけなかった.

それから,桃山時代~江戸時代の作品が多かったのもこの「物語展」の特徴であった.


それにしても,今回,出光美術館には本当に久しぶりに訪れることになった.

また,興味を惹かれる展覧会があれば,ぜひ訪れたい.


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by Allegro-nontroppo | 2015-02-15 21:05 | 博物館

RIMPA 岡田美術館所蔵 琳派名品展@日本橋三越本店 新館7階ギャラリー

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テレビ番組「美の巨人たち」では,酒井抱一「風神雷神図屏風」が取り上げられていた.

琳派好きとしては見ないわけにはいくまいと久しぶりに見ることにした.

琳派の画風は俵屋宗達から尾形光琳,そして酒井抱一へと生きた年代の違う人間が継承してきたことが一つの特徴といえるだろう.

その中で「風神雷神図屏風」は俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を尾形光琳が模写し,尾形光琳の模写をさらに酒井抱一が模写したという,琳派好きにはたまらない作品群である.

以上の話は知っていたが,それぞれの「風神雷神図屏風」の違いや特徴は知らなかったので大変おもしろく見させて頂いた.

それぞれを鑑賞する機会があった時にはよく注意してみたい.

さすがに並べてみることはよっぽどの展覧会がない限り無理があるであろうから,ちょっと見ただけではとても気づかなかったことであろう.

ちなみに宗達の「風神雷神図屏風」は昨年の特別展栄西と建仁寺(感想はこちら→)で鑑賞させて頂いた.


ところで,今年は琳派発祥400年にあたるらしい.

各地で様々な催しが行われるということだが,その催しの一つにいそいそと出かけた.

琳派400年記念―箱根“琳派”の誕生― 岡田美術館所蔵 琳派名品展 ~知られざる名作初公開~である.

もたもたしているうちに終わってしまったが,感想を記しておきたい.

場所は日本橋三越本店 新館7階ギャラリーである.

こちらのギャラリーを利用させていただくのは初めてである.

昔はデパートでも美術展など行われていたが,最近はすっかりなくなってしまったと思っていた.

三越はまだまだ体力に余裕があるのであろう.

今後も楽しみである.

さて,ずいぶん前置きが長くなってしまったが,印象にのこった作品の感想を以下に記しておく.


柳橋水車図屏風

柳と水面を除けばすべて金泥,金箔,金砂子である.

柳や水面も黒色に近い色使いで,パッと見は黒と金の世界であり,かなりインパクトがあった.

解説にもあったが柳,橋,水車の取り合わせはやはり宇治,特に源氏物語宇治十帖を思い出してしまう.

作者及び作成集団は判明していないそうなので,解明が期待される.


菊図屏風 尾形光琳

画面には白菊の花,茎の緑と黒,そして白い地面と背景の金のみの彩色で,あとは空間と菊の配置というデザインである.

どうしても光琳の「燕子花図屏風」を思い出してしまうところである.

ただし,菊の花弁は一枚一枚,胡粉でもりあげて描かれており,多少のデフォルメを感じる「燕子花図屏風」とは異なっているように思われる.


夕顔・楓図 尾形乾山

尾形乾山といえば,光琳の弟で特に陶工として有名だったはずだが,こちらは図である.

しかし,工芸品で見かける乾山の絵の作風となんら変わりないように見受けられる.

深く考えたことはなかったが,このデフォルメしたような乾山の作風は光琳の影響だろうか.

光琳が乾山のために作った植物の書き方をまとめたもの(見本だったかもしれない)を見たことがあるから,間違いないとは思うが.


白梅図 酒井抱一

まさに「光琳梅」という作品である.

枝はたらしこみで描かれており,まさに「琳派」という作品だと思う.

光琳へのリスペクトを感じる.


風神図 酒井抱一

この風神図はもちろん昨夜の「美の巨人たち」で取り上げられたものではないが,宗達または光琳の「風神雷神図屏風」を模写したものの一つだろう.

しかし,「美の巨人たち」によれば,抱一の図屏風は衣装が金装飾などで華やかになっており,雲が風に吹き散らされているようなところが特徴とされていたが,この風神図ではそのようなところは感じられない.

この「風神図」に伴われていた,「雷神図」は見つかっていないということであるが,見つかればどのような意図で作成されてか分かるのであろうか.


桜図 酒井抱一

桜の枝はたらしこみで描かれており,「琳派」らしい.

しかし,桜の花や葉は繊細に詳細に描かれており,抱一らしいと感じさせてくれる.

抱一の作品は夏草,秋草を目にする機会が多いが,春の花もいいものだ.

どちらかというと春の方が好みである.


木蓮小禽図 鈴木其一

枝が淡く描かれているせいか,木蓮の花に力を感じた.

解説にあるように表情豊かに描かれているせいだろうか.

この力は「燕子花図屏風」にも感じられたのだが,色彩は非常に落ち着いたトーンで派手なところは全くないし,サイズも一幅しかないのに不思議である.


名月に秋草図 鈴木其一

この作品にはショックを受けた.

大変に私の好みである.

正直,琳派好きながら,琳派の描く夏草,秋草図はいまいち好きになれなかった.

三幅のうち中央に満月と空のみ配置しているおかげで強烈に遠近感を感じる.

この遠近感を空と地面の淡い色で,そして秋草もくっきりと繊細に描かれることで

助けているのだろう.

なんにせよ構図がこの図の勝因である.

本当に素晴らしいものを見せて頂いた.


燕子花図屏風 神坂雪佳

光琳の「燕子花図屏風」に影響を受けたことは間違いない.

サイズは屏風としては小ぶりである.

他の作品を見ながら思うことではないがやはり光琳の「燕子花図屏風」が自分にとってはNo.1であることを再認識した.


初月屏風 加山又造

この作品の良し悪しはよく分からない.

ただ,この展示会の中で一番力を感じさせてくれる作品であった.

どこに展示されていても素通りできる作品ではない.

ただ,素人にはどのあたりが琳派らしいのかよく分からないところが残念である.


以上が私の印象に残った作品である.

この他にも乾山のやきものや光琳図案の蒔絵などの工芸品も多数出品されていた.


この展示会を通して,酒井抱一と鈴木其一の素晴らしさを認識させて頂いた.

本当にありがたい話である.

余談だが,インターネットで酒井抱一と鈴木其一と他の作品を探してみてショックを受けた作品がある.

鈴木其一の「朝顔図屏風」だ.

インターネットでこれほどの衝撃なのだから,本物ならばどれほどだろうと思う.

いつか日本で展示してもらえないだろうか.

実際には行った方が早いのかもしれない.

とりあえずは春の「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」を楽しみにしよう.


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by Allegro-nontroppo | 2015-02-08 20:45 | 博物館

特別展 栄西と建仁寺

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東京国立博物館に行ってきた.
目的は「開山・栄西禅師800年遠忌 特別展 栄西と建仁寺」観覧のためである.
もちろん,その中で特に楽しみにしていたのは国宝 風神雷神である.
建仁寺所有の名宝として名高いが,建仁寺に行けば見れるものではないため,琳派好きとしては非常に楽しみであった.

ところで本特別展では栄西を「ようさい」としている.
これは建仁寺では興禅護国論和解(高峰東晙著 本特別展でも展示)で栄西に「イヤウサイ」と振り仮名が振られているためだそうだ.



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by Allegro-nontroppo | 2014-04-20 13:03 | 博物館