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特別展「鳥獣戯画ー京都 高山寺の至宝ー」@東京国立博物館

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随分,更新間隔があいてしまった.

特に更新するような出来事がなかったのなら,それでもよいかとは思うが,いくつかの博物館・美術館を訪れたので記録しておかなければ忘れてしまう.

訪れた順番に記事にすべきとは思うが,ここは5月29日に訪れた,特別展「鳥獣戯画─京都高山寺の至宝─」から記録することにする.


鳥獣戯画は数年にわたる本格的な修復を終了後,初めて京都で公開されたのが昨年のことだ.

この公開中に奈良に行く機会があったので,寄るべきかとも思ったのだが,東京でも近々公開されるに違いないと信じて見送った。

読み通り,今年,東京国立博物館にて公開されることとなったので,前売り券を購入することにした。

京都ではとんでもない行列ができたという話は耳に入ってきていたので,東京でも同じようになるだろうとは覚悟していた.

東京での公開時期は京都での公開時期より気候がずっとよいから待ち時間はともかく,大丈夫だろうと思っていたが,今年の5月はいつにもまして暑かった.

京都は寒さとの戦いで東京は暑さとの戦いとはよく言ったものだ.

今回の特別展は全場面を見ることができるというのが売り文句だが,実際には前半部分と後半部分を前期後期に分けて公開するので,1回で全ての場面を見れるというものではない.

行列ができるほどでなければ2回行くことも考えたが,3時間以上待つこともあると聞いたので,早々に諦めて,有名な部分のある後期に訪れることにした.

GWと合わせて有給休暇を消化する同僚が多かったのだが,そこはカレンダー通りの休暇で我慢し,5月29日の平日に休みをとって出かけることにした。


当日は雨で,気温もここ数日の中で圧倒的に低かった.

13時過ぎに到着し,外での待機時間は40分ほどであった.

雨とはいえ,風もなく,下手に晴れているより過ごしやすかったと思う.

まず,高山寺伝来の至宝や高山寺中興の祖明恵上人関連の展示を見学した.

こちらは,待ち時間もなく,余裕をもって展示を見ることができる.

その後,ついに鳥獣戯画関連の展示へ.

このあたりから,前列で見学したければゆっくりとしか前に進めなくなる.

まず,鳥獣戯画が生まれた背景に関する展示があったあと,鳥獣戯画の断簡,そして丁巻,丙巻,乙巻,そして甲巻の順で展示されている.

ちなみに甲巻のためだけの待列も形成されており,16時ごろ並んで18時半にしか見れないというとんでもない行列であった.

以下,印象に残った作品の感想である.


第1章 高山寺伝来の至宝

春日大明神像・住吉大明神像

高山寺では「栂尾開帳」という春日・住吉両明神の神影を拝する儀式が継承されてきたそうで,その神影が出品されていた.

実際の儀式がどのように行われているか興味がある.

また,この神像の写しも二品出品されており,このうち一品は仁和寺に伝わったものというから,さらに面白い.

神仏習合と簡単に言ってよいかは分からないけれども,その名残とも言えるのであろうか.


第2章 高山寺中興の祖 明恵上人

子犬

日本における近代以前の彫刻は宗教的な意味合いを持ったものがほとんどだそうだが,この子犬からはそのようなものは感じられない.

現代の日本人も大多数が好ましいと感じるようなかわいらしい子犬で,これを明恵上人も愛でていたと思うと親近感が湧いてくる.


十六羅漢像

この展示の手前にある十六羅漢像のグループには,当時の日本ではあまり描かれなかった栗鼠がよく描かれており,この作品もその一例だというコラムのようなパネルがあったので,よくよく探してみた.

栗鼠というとシマリスを想像してしまうけれども,こちらは森林などにいる野生の栗鼠っぽい.

随分間抜けな感想になってしまった.


白光神立像

白光神はヒマラヤを神格化した神で,体も衣も白一色なのは永遠の雪をたたえたヒマラヤの雪を表しているのだそうだ.

姿かたちはまるで仏様のように見えたので,てっきり仏像と思ったのだが目録を読み返すと神像である.

こちらも高山寺蔵であるが,高山寺には神像がなんて多いのだろうと思わずにいられない.

肝心の白光神立像であるが,白一色というのは見慣れないせいもあるのか,非常に神々しく感じた.

色もよく残っているので尚更である.


善財童子絵

昨年の国宝展で善財童子像を見てから,善財童子と聞くとついつい目がいってしまう.

善財童子関連の絵や絵巻は今回もいくつか出品されていたが,どれも善財童子の一生懸命さが伝わってくるようであった.

そういうものが後世まで伝わるのだろう.

この善財童子絵はかわいらしいタッチで善財童子のみならず,画面にいるすべての神仏たちの表情がどこかやさしいように感じられる作品であった。


華厳宗祖師絵伝 元曉絵

先に記した善財童子絵もそうだが,明恵上人は華厳宗とも何かしら関連があるらしく,それに関する作品もいくつか出品されていた.

後期展示では華厳宗祖師絵伝のうち,元曉絵(義湘伝は前期のみ)を見ることができた.

元曉の事績について,何も知らない私にはうってつけの絵巻であった.

ただ,元曉より勅使のほうがすごいななどとしょうもない感想を抱くようではどうしようもないだろう.


第3章 鳥獣戯画

年中行事絵

展示されていた場面は賀茂祭の行列の様子ということである.

風流傘の飾りものは鳥獣戯画のモチーフとなったかもしれないとのことである.

本当に小さいものではあるがとても可愛らしい.


鳥獣戯画 丁巻

鳥獣戯画の各巻物は順路通りに廻ると丁丙乙甲と逆から見ていくことになる.

丁巻はすべて見終わってから考えると明らかに他の巻とはタッチが違い,別の人物が書いたのであろうと推察できる.

そのタッチは他の巻より暖かみがある.

また,この巻の特徴と言えば人物が主体となって描かれていることだろう.

さらさらと簡単に描かれているようにも見えるのだが,それでいて完成度が非常に高いとは素晴らしい.


鳥獣戯画 丙巻

前半に人物戯画で後半に動物戯画が描かれているこの丙巻は,今回の修理により,料紙の表裏に描かれていた人物戯画と動物戯画を二枚に分けてつなぎ合わせたという発見があったとのことだ.

そのような技術が昔の日本にあったのかと驚くばかりである.

今回,本物が展示されていたのは動物戯画の部分であったが,甲巻と似ていて,擬人化された動物による競馬や祭礼などが描かれており,とても楽しい.

蛙などは甲巻とも似ているように思えるが,作成年代からすると甲巻と同一人物が書いたものではないようだ.

モチーフはよく似ているようにも思うが,そのあたりは今後の研究が待たれるところであろう.


鳥獣戯画 乙巻

他の巻と比べて物語性がなく,動物図鑑のような乙巻である.

龍や獅子など空想上の動物も描かれている.

虎も描かれているのだがキトラ古墳や高松塚古墳の白虎を思い出させるようなスリムな姿である.

親子の動物たちも描かれており,ほのぼのとしている.


鳥獣戯画 甲巻

鳥獣戯画と言えばやはり甲巻であろう.

擬人化された動物たちによる遊戯や儀礼を描いた巻である.

ところで何故,後期の展示にこだわったかというと,もっとも鳥獣戯画で有名な場面である,「猿を追いかける兎」や「兎と蛙の相撲」が後期展示で見られるからだ.

とにかく初めて見た印象は紙幅が想像より大きいなということである.

従って,それぞれの絵自体も想像より大きいわけである.

動物たちはいきいきしていて,いまにも紙から飛び出してきそうだ.

実際に鳥獣戯画を見てから数日経ったが,いまだにぼんやりしていると,これを見た時のことが思い出されてしまう.

他の巻と比べて,圧倒的にこの甲巻には力があるなと感じられた.


以上が今回の特別展 鳥獣戯画の感想である.

並ぶ時間は長かったし,人も多かったが結果的に行ってよかったと思う.

それはそれとして,毎度東京国立博物館の特別展で思うことだが,展示ケースのガラスが汚すぎる.

せっかくの展示が台無しだ.

平成館入場口や甲巻の待機列に人員を割きすぎている感があって,鳥獣戯画以外の展示周りは放置されているようにも思えた.

人員が割けないのならそれはそれなりに,ガラスケースを触らないように注意のパネルを準備するなり何かしら対策をとってほしいものである.

下記は帰り際に撮った写真である.
今回はこのような遊び心のあるパネル等々を博物館内でも見かけた.

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by Allegro-nontroppo | 2015-06-04 01:17 | 博物館

日本国宝展ー祈り,信じる力ー@東京国立博物館 再び

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本日が最終日の日本国宝展である.

124日にまたしても出かけてしまった.

出品目録を見る限り,前期と後期で出品物ががらりと変わるのである.

12月はあまり特別展が開かれない時期なので,ここで行かねば,今年はもうないかもしれないという気持ちもあった.

前回の感想はこちら→日本国宝展-祈り,信じる力-@東京国立博物館

入場制限があり,すぐに入場とはいかなかったが,それでも510分ほどである.

さっそく感想を書いてみる.


第一章 仏を信じる

直刀 号丙子椒林剣

聖徳太子の御剣として四天王寺に伝わっているとのこと.

飛鳥時代のものということで,可能性はあると思われる.

きちんと保管すれば,当時の輝きを残したままでいられることに驚いた.


大般若経 巻二百五(和銅五年十一月十五日長屋王願経)

長屋王が文武天皇の冥福を祈って書写させたものとのこと.

長屋王の妃である吉備内親王(文武天皇と吉備内親王は兄妹)の意を受けて作成したと推測されているらしい.

長屋王の父,高市皇子の死を待って,文武天皇が即位したと考えている私にとってはどのような心境で作成するにあたったか考えてしまう(詳しくは高松塚・キトラ古墳孝⑥ー高松塚古墳の被葬者ーへ).

しかも,長屋王自身も悲劇的な最期を迎えることになるのだ.


法華経(久能寺経)

待賢門院周辺で作成されたと考えられているとのこと.

待賢門院といえば,崇徳天皇の母であり,その後の歴史を揺るがせる一因でもあった方であるが,何を思って作成したのか気になるところである.


華厳五十五所絵巻

善財童子の求法の旅を描いている.

先月の「西大寺」やこの特別展に出品されている「安倍文殊院」の善財童子と御縁を感じるが,どのような方なのか知らなかったため,勉強になった.

絵巻であれば字が読めなくても内容を理解できるということを身をもって知った.

仏教の布教に盛んに用いられたということがよく分かる.

善財童子は華厳経に描かれている方であった.

華厳経といえば,聖武天皇=東大寺(詳しくは知ってるつもりの東大寺ー聖武天皇と光明皇后ーへ)である.

もちろん,この絵巻は東大寺の所蔵物である.


第二章 神を信じる

土偶

今回は土偶目当てでやってきたのである.

縄文のビーナスと合掌土偶は前回すでに出品されていた.


縄文のビーナス

マスコットキャラクターのような愛らしい姿ではあるが,きちんと女性の曲線美をとらえているように思われる.


縄文の女神

スレンダーな土偶である.

背丈はかなり大きい.

この土偶が埴輪たちの中に混ざっていたとしたら,土偶だと見分けられるかどうか自信がない.


仮面の女神

逆三角形の仮面をかぶったような土偶.

仮面土偶は他にも見つかっているが,本品が一番優美な姿とのこと.


中空土偶

この土偶は中空で薄く作られているところが素晴らしいとのこと.

数ある中空の土偶たちの中で最大のものらしい.

外側の模様も他の四体より優れていることが見て取れる.


合掌土偶

他四体は立ち姿であるが,この土偶は体育座りの体勢である.

何度か見たことのある土偶(詳しくは日本発掘-発掘された日本列島2014-へ)であるが改めて他と比べてみるとこの土偶の鑑賞ポイントがよく分かる.


第三章 文学,記録にみる信仰

日本書紀 巻第二十四

蘇我氏による山背大兄王の滅亡から大化の改新(乙巳の変)ぐらいまでが展示してあった.

中大兄皇子と中臣鎌足の蹴鞠の話や蘇我倉山田石川麻呂が震えながら文を読み上げるくだりなど,ああ,ちゃんと書いてあるんだなあなどと思ってしまった.

もちろん当然のことである.


土佐日記 藤原為家筆

当時は紀貫之自筆の土佐日記が残っていたらしく,奥書には「一字違わず書き写した」と書かれているらしい.

為家の父,定家の写本などと比べても,忠実に書写されているということが既に分かっているとのこと.


第四章 多様化する信仰と美

観楓図 狩野秀頼筆

ついつい先月の吉野の紅葉を思い出してしまう.

この観楓図は人が主体で当時の風俗がよく分かる.

京都の高雄の情景とのことだ.


以上である.

第五章は展示入れ替えがほとんどなかったので割愛した.

しかし,今回もマナーの悪さに辟易した.

虚空菩薩像や普賢菩薩像などの仏画の前には白線が引かれており,その外から鑑賞するよう貼り紙があったのだが,お構いなしの諸先輩方が多数見られた.

館員の方?による注意の声も聞こえてはいたが,聞こえない間もあり,注意してくれないかなあと振り返ってみると,館員どうしで談笑されていたようで・・・.

トーハクの特別展は非常におもしろいものが多いのだけど,それ以外の部分には首をかしげたくなる部分も多い.


物販コーナーも大盛況のようで,前期にあったものが既に無くなっていたり,売り切れたりしていた.


出品物については,「第二章 神を信じる」の入れ替えがあまりなかったのが残念だった.

国宝は仏教関係が多いのだろうが.

次回のテーマはやはり「絵画」でやってほしいと思う.

宗教画よりも風景や植物などが好みなので.


最後に上野公園の銀杏を一枚.

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吉野は紅に染まっていたが(詳しくは吉野への旅二日目 ~大峰奥駈道と吉野山~),こちらは黄色.

もう,落葉気味であるし,あいにくの天気であったが充分楽しめた.


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by Allegro-nontroppo | 2014-12-07 19:08 | 博物館

日本国宝展-祈り,信じる力-@東京国立博物館

まずはこの写真.

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次はこの写真.

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そしてこの写真.
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というわけで,東京国立博物館「日本国宝展」に行ってきた.

もう一週間以上前のことである.

印象深かった展示物の感想を記す.


正倉院宝物

期間限定で正倉院宝物が出品されていたのだ.

正倉院宝物は通常,毎年この時期に奈良国立博物館で開催されている「正倉院展」でのみ,見ることができる.

これは曝涼(宝物の「虫干し」のことで定期的に行われる)の期間に特別に出品されているということで,管理上,これ以外の時期に正倉院から出すことはできないのだと私は理解している.

日本の首都たる東京で見ることのできないことに不満を感じておられる方もいるとのことだが,未来へ保存していくことを考えれば,どうぞ奈良まで行くなり,諦めるなりしていただくほかないと思う.

以上のような事情ながら,今回は天皇皇后両陛下傘寿記念ということで「日本国宝展」に出品されることになった.

ラッキーである.


楓蘇芳染螺鈿槽琵琶

この琵琶は何年か前の「正倉院展」で目玉となっていたのではなかろうか.

まず,大きさに驚いた.

弦側に絵が描かれているのみでなく,裏側やペグ(琵琶だと正式名称は違うかもしれない)の部分にまで螺鈿が施されている.

東大寺の法要などで使用されたのではないかという解説があった.


第1章 仏を信じる

玉虫逗子

玉虫逗子が何故法隆寺に納められているかという疑問はひとまず置いておく.

各面の仏教説話は「海龍王経」に基づくものとのことで,龍王が捨身をおこなったことと関連し釈迦の捨身図などが描かれているという.

なお,玉虫の羽を見つけることはできなかった.


東大寺金堂鎮壇具

(1)金銀荘大刀(陽剣)

(2)金銀荘大刀(陰剣)

明治時代に東大寺敷地から発掘されたこの遺物が何年か前に調査の結果,正倉院より持ち出された「陽剣」と「陰剣」の可能性が高いと話題になったことを覚えている.

国宝指定されていたとは思わなかった.


餓鬼草紙

何故か妙に印象的であった.

生活感とか生々しさなどが伝わってくるからであろうか.


金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 

金光明最勝王経の文字一つ一つで宝塔が描かれている.

その苦労など考えると非常にありがたい気持ちになる.


第二章 神を信じる

土偶

縄文のビーナス

合掌土偶

縄文のビーナスは教科書などでもお馴染である.

合掌土偶は「発掘された日本2014」にも出品されていたので再見.


内行花文鏡(11号鏡)

糸島市平原遺跡出土ということは伊都国王の墓から出土したものであろう.

写真・話には聞くが,実物が見れるなどとは感動ものである.

今まで色々な鏡を見てきたが圧倒的に大きい.

当時の伊都国王の力が分かるというものである.


第三章 文字,記録にみる信仰

日本書紀 巻二十二

特に展示されていたのは聖徳太子の部分である.

現代語訳で読んだことがあるためか,漢文であっても難なく読むことができる.


日本霊異記

こちらも漢文ではあるが,読んでいない話の部分が展示されていたようで,内容はうまく理解できなかった.

非常に残念.


第四章 多様化する信仰と美

花鳥図 狩野永徳筆

松に秋草図 長谷川等伯筆

戦国時代の二大画家の作品が並んでいる.

どちらも素晴らしいが私の好みはやはり琳派であると改めて思った.


琉球国王尚家関係資料

黄色地鳳凰瑞雲霞文様紅型紋紗衣装

沖縄の民俗衣装として思い浮かべるならばこのような衣装であろう.

ただし,鳳凰や瑞雲など非常に王族らしい図柄である.


黒漆雲龍螺鈿東道盆

この螺鈿は青と紫色を主体とした螺鈿細工であるが,このような色は琉球独特のものであるとのことであった.

確かに初めて見た.

そして非常に美しいのである.


第五章 仏の姿

元興寺極楽坊五重小塔

これはいったい何のために作成されたのか非常に気になるところである.

建築物にはあまり興味はないが,それでも「おおっ」と思わせてくれる.


善財童子立像・仏陀波利立像

一番新しく登録されたのがこの二体の仏像とのことである.

善財童子立像は今回の「日本国宝展」のマスコットキャラクターのような存在でもある.

しかし,実物は動きのある御姿ながら,どこか静かだ.

作者は快慶とのことで,「高野山の名宝」展で感じたことそのままである.

さすがだ.



美しいものは他にもたくさんあったが,素晴らしいとか美しいとしか言いようのないものは今回割愛した.

このようなところに語彙力のなさや,知識の薄さが露呈してしまう.

さて,展示物以外の全体についての感想である.

平日の昼間に訪れることができたのではあるが,絵巻などの展示は少々待たないと近くで見ることは叶わない.

とても混雑していたと言えるであろう.

また,ガラスケースは指紋でベタベタである.

ガラスぶきをされている清掃員?の方を見かけたので清掃の頻度が足りないということではないと思う.

酷いのはガラスケースに直接,指をさして長々と連れの方と喋っていた方である.

ガラスケースに触れないというのはどこの美術館・博物館でも最低のマナーとは思うが,今回の「日本国宝展」ではそのマナーを御存じない方が多数来場していたということであろう.

そもそも,トーハクは面白い特別展が多いので似たような光景は多々見られる.

トーハクも大変だとは思うが,そろそろ注意喚起に乗り出しては貰えないだろうか.


張り紙などしてもらうだけでも,こちらもそのような場面に出くわしたときに注意しやすくなるのだが.

追記
このブログ記事は日本国宝展 前期の感想である.
後期も行ってきたので,その感想は下記記事に記す.

日本国宝展ー祈り,信じる力ー@東京国立博物館 再び




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by Allegro-nontroppo | 2014-11-09 19:03 | 博物館

特別展「キトラ古墳壁画」記念講演会@東京国立博物館

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写真は特別展「キトラ古墳壁画」の展覧会カタログ(図録)である.
普段,博物館に行っても,あまり図録は購入しないのだが,この図録は購入してしまった.
見本を立ち読みさせて頂いたところ,コラムが充実しているようだったし,何より,副葬品の情報まで載っているのが素晴らしい.
キトラ古墳と高松塚古墳は壁画に注目が集まるせいか,あまり副葬品についての資料が見つからないのである.
壁画などのグラビアも美しいし,これからじっくり読んでいきたい.

さて,特別展「キトラ古墳壁画」記念講演会(2) 「キトラ古墳壁画に迫るー高松塚古墳壁画との比較からー」に参加したのである.
特別展「キトラ古墳壁画」鑑賞に関する当ブログ記事はこちら
この講演会に参加するためには事前に応募が必要で,その時にはGWの混雑ぶりなど全く想像せずに応募してしまった.
よって,5月3日という,とんでもない日に東京国立博物館に向かうことになってしまったのである.

講師は有賀祥隆氏.
高松塚古墳の発見時には,文化庁の調査員として調査に携わった方だそうである.

講演内容としてはキトラ古墳壁画と高松塚古墳壁画の写真を用いた比較が中心であった.
この比較については様々な文献で取り上げられているので,今回は大まかに書いておくと次のようになる.
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上記以外でおもしろいと思った解説を下記に記す.

・天文に関して
キトラでは四神を四方の壁の上部に描いているように天体の一部という意識があるが,高松塚では東壁に太陽,西壁に月を描いたり,天文図についても象徴となる28宿のみしか描かれていないなど,天文に関する意識が希薄になっている.

また,キトラでは太陽と月の下に雲気文が描かれているが,高松塚では山岳文に変化している.
これは山岳文は法隆寺の塑像にもみられるので,高松塚と法隆寺の建造は時期が近いと考えられる.

ちなみに天井はキトラは屋根型の切り込みありで,高松塚は平置きである.

・キトラの四神と十二支に関して
四神は全て右を向いているが十二支は全て左を向いて描かれている.
正倉院宝物の十二支八卦背面鏡の青龍と白虎と似た表現(特に足と尾の絡まり)だが,朱雀は少し違う.
あえて言うなら,法隆寺玉虫厨子の背面の絵に似ている.
古い形の朱雀をモデルにしている?

十二支の服は描かれた方位の五行に合わせた色で描かれている.
中国ではブロンズで造られた十二支で埋葬者を守る風習があった.

四神,十二支でランクの違う絵描きが書いているようである.

・高松塚の群像に関して
東壁男子群像は視線を遮る人をいれるという中国の進んだ表現法が取り入れられている.

西壁女子群像,通称飛鳥美人は頭の高さがそろっていないことや服にしわを入れるなど画期的な表現方法が取り入れられている.

東壁は当時の一流の職人が描き,西壁は若い意欲的な職人が描いた可能性がある.

・制作年代に関して
中国の壁画をよく学んで描いている.
高松塚の人物像の服装から,衣服令の時期とあわせて考えると時期が絞れる.
710年くらい?
キトラの方が高松塚よりも少し古い.

・キトラの所在地に関して
キトラ古墳は阿部山にある.
阿部御主人は大臣までんった人物で707年に死亡している.
何か関連はあるか.


有賀氏ご本人がおっしゃっていたように,当たり障りのない,非常に言葉じりに気を付けた講演会であった.
キトラと高松塚古墳に関しては推論を出すことすらタブー視されているのだろうか.
正直なところ,とてもタイトル通りにキトラ古墳壁画に迫れたとは思えない.
これは有賀氏個人の問題ではなく,キトラ・高松塚古墳に漂う「決して仮説,推論を述べてはいけない」という雰囲気のせいであると考える.
この件については,いずれ当ブログで記事を書きたいと思う.

以上が,特別展「キトラ古墳壁画」記念講演会(2) 「キトラ古墳壁画に迫るー高松塚古墳壁画との比較からー」参加記録と感想である.

おまけ
東京国立博物館では表慶館で「飛鳥ーキトラ2016ー」も開催中である.
一番の見どころはキトラ古墳壁画と高松塚古墳壁画をタブレット端末で自由に拡大縮小できる映像展示であろう.
ここはすごい人だかりであった.
どうやら,人の多さにキトラ古墳壁画観覧を断念した人も集まってきているらしい.
残念ながら,私は体験できなかったが,他にも当時の飛鳥京のイメージをCGで再現し,タブレット端末で体験できるコーナーがあり,こちらは楽しませてもらった.
他にも里中満智子氏の「持統天皇物語 天上の虹」のマンガ原稿や藤原京のジオラマなど見学できる面白い企画であった.


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by Allegro-nontroppo | 2014-05-07 19:18 | 講演会,シンポジウムなど

特別展 キトラ古墳壁画@東京国立博物館

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5月3日にキトラ古墳壁画を東京国立博物館に見に行ったのである.
噂通り凄い人であった.
9時45分に特別展の入場者の列に並んだのだが入館できたのは11時ごろであったから,1時間以上も並んだことになる.
何年か前の「阿修羅展」に並んだことを思い出してしまうが,あちらはこれより長い時間並んだと記憶しているし,なにより太陽を遮るものが何もない所に並ばなければならなかったので,非常に苦しかった.
一方,こちらは並ぶ場所に木陰が多かったので,そのぶん楽である.
列からは「栄西と建仁寺展」に並ぶ人も見えたが,列が短く,頻繁に動いているようだったので,すぐ入場できそうであった.
ちなみに,この「栄西と建仁寺展」に先日訪れたときに前売り券を買っておいたので,入場券購入の列に並ばずに済んだのは本当に良かった.
(「栄西と建仁寺展」の当ブログ記事はこちら)

さて,展示室 (今回は本館特別5室) に入場するとまず,四神及び十二支のパネルが展示されている。
その先に進むと四神+天文図の複製陶板やキトラ古墳墳丘模型が並んでいる.
今回の展示では青龍 (東壁) と天文図 (天文図)は来ていないので,じっくり眺めた.

次に展示されているのはキトラ古墳の出土遺物である.
出土遺物がどれだけ出ているのか調べていなかったので分からないが,琥珀玉以外は全て実物であった.
展示されているとは思っていなかった銀装大刀関連もかなり展示されていたので,感激してしまった.

壁画の剥ぎ取り作業や修復作業のビデオ上映を経て,ついにキトラ古墳壁画の実物と御対面である.
この前にも少々列ができていたが,5分並んだかどうかである.
まず展示は四神(玄武・白虎・朱雀の順だったと思うが,だいぶ記憶が怪しい)から.
描かれてから千年以上経っているとはとても思えないほどはっきりと絵が見える.
一部,泥水などの影響で赤く見えにくくなってしまっている部分もあったが,逆にそれ以外の部分に影響がないといういうのは,当時の岩石の工作技術の凄さを物語っていると思う.
玄武は緻密さ,繊細さを感じさせてくれるし,白虎は伊藤若冲の虎を思い出させるような,愛らしい顔立ちをしている.
朱雀は優雅に羽根を広げて疾走している.
光の十分に届かない石室の中で描いたとは思えない素晴らしさだ.

次に十二支のうち子と丑 (北壁) と複製陶板の寅 (東壁) である.
正直なところ子と丑は不鮮明でどのような絵が描かれていたかは他の十二支から想像するしかない.
そこで,隣に並べられた複製陶板を眺めてみるのだが,思い出したのは死者の書に描かれたエジプト神話のアヌビスである.
彼は犬またはジャッカルの頭をもつ半獣の姿で描かれているが,寅やパネルの午をみるとどちらも寅と午をもつ半獣の姿である.
おそらく,他の十二支たちも似たような姿で描かれていただろう.
古墳→死者の書という連想ではあるが,エジプトでも日本でも死者の世界には半獣がいるのかもしれない.

最後に高松塚古墳壁画の飛鳥美人等がパネルで展示されていた.
こちらは,すでに1月に遠目とは言え見物しているのでさらっと眺めるにとどまった.
(その際の記事はこちら)

全体の感想としては壁画は絵の描かれている部分のみをはぎ取っているということに愕然とした.
例えばキトラ古墳の北壁には玄武と十二支の三体が描かれているとされているが,十二支は6体のみしか発見されていない.
今のところ「判明している壁画」剥ぎ取りが完了したとされているが,では判明していない壁画はどうしているのだろう.
そもそも,部分,部分のみで剥ぎ取っているというのがいただけない.
画家は壁一面をキャンバスとして描いたはずで,それなのに個々が確認されている部分のみを剥ぎ取るのは,レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のイエス・キリストと十二使徒それぞれを保存のためと言って分割するのと何ら変わらない.
剥ぎ取った今となっては四神がそれぞれの方位に描かれていたということなど,二次資料でしか確認できないのだ.
描かれた対象を考えるに,これらの壁画は方位や配置に重要な意味があることは素人の私だって分かるのに.
今後,数々の分析技術が発展していくことは間違いないが,この壁画の復元についてはもう無理と思ってよいかもしれない.

以上が,特別展 キトラ古墳壁画の感想である.
ところで,GWの真っただ中,5月3日の大混雑の中でわざわざ行くなんて「酔狂な」と思われた方がほとんどだと思う.
私もできれば,こんな日には行きたくないと思っていたが,この5月3日の記念講演会の受講券を入手していたため,覚悟して訪れることにしたわけである.
この講演会についてはまた次回.

※2014年5月21日に誤字・脱字を修正した.
内容変更はなし.
申し訳ありません.



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by Allegro-nontroppo | 2014-05-05 19:20 | 博物館

特別展 栄西と建仁寺

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東京国立博物館に行ってきた.
目的は「開山・栄西禅師800年遠忌 特別展 栄西と建仁寺」観覧のためである.
もちろん,その中で特に楽しみにしていたのは国宝 風神雷神である.
建仁寺所有の名宝として名高いが,建仁寺に行けば見れるものではないため,琳派好きとしては非常に楽しみであった.

ところで本特別展では栄西を「ようさい」としている.
これは建仁寺では興禅護国論和解(高峰東晙著 本特別展でも展示)で栄西に「イヤウサイ」と振り仮名が振られているためだそうだ.



続きはこちら→
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by Allegro-nontroppo | 2014-04-20 13:03 | 博物館