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開館50周年記念 美の祝典Ⅲ 江戸絵画の華やぎ@出光美術館

「開館50周年記念 美の祝典Ⅲ 江戸絵画の華やぎ」を鑑賞しに出光美術館へ出かけた.

一番の目的は「伴大納言絵巻」の下巻を鑑賞するためである.

Ⅲ 江戸絵画の華やぎがはじまって最初の土曜日に出かけたが,覚悟していたほど人は多くなく,余裕をもって鑑賞することができた.

また,おそらくⅠ やまと絵の四季を鑑賞した時に割引券を頂いていたらしく,たまたま前日に財布から発見されたので半額で鑑賞させて頂いた.

お得であった. 


更衣美人図 喜多川歌麿

扇であおぎながら着替える女性の日常の一場面を切り取ったものであるが、インパクトの強い作品であった.

さすがは喜多川歌麿である.


春秋二美人図 葛飾北斎

扇を手にポーズをとる春の美人と虫かごを手にした秋の美人が描かれている.

春といえばピンク色をイメージするのだが,春の美人の着物がピンクでないことにまず驚いた.

そうでありながら,この美人が春を象徴していることがすぐわかるというのが驚きである.


南蛮屏風

南蛮船や町を歩く南蛮人が描かれている.

異人として,皮膚の色が異なる人々も描かれているのだが,明らかに皮膚の黒い人々は白い人々につかわれていることが読み取れる.

当時の人の推察力がすごいのか,異人たちがあからさまだったのかは判断がつかない.


四季日待図巻 英一蝶

正月・五月・九月の特定の日に人々が集まり潔斎して終夜こもって日の出を礼拝する神事が時代を下ると夜通し遊ぶ遊興となっていったという.

なんのための神事だったのだろう.


伊勢物語 武蔵野図色紙,若草図色紙 俵屋宗達

伊勢物語でも有名な場面を描いたものだと思うが武蔵野の場面は読めていない.

こういうときに勉強できていないことを後悔するのだ.

私の怪しい記憶によれば,若草図は男とその妹を描いた場面ではなかろうか.

そう思ってみるとまた面白い.


紅白梅図屏風 酒井抱一

紅白梅図屏風といえば尾形光琳を思い浮かべるのだが,あの屏風から着想を得ているのだろうと思う.

ただしこの紅梅の背景は銀で覆われている.

梅は夜に薫るというが,その情景を描き出しているようである.

酒井抱一の波図屏風も思い浮かべてしまう作品であった.


風神雷神図屏風 酒井抱一

一度,見たことがあったのだが,テレビ番組「美の巨人たち」で紹介されていた特徴など見ることができてよかった.


十二ヵ月花鳥図貼付屏風 酒井抱一

十二ヵ月の花鳥図が貼り付けられた屏風なのだが,特に六月の紫陽花が可愛らしい色のグラデーションでポップさがあり,目を引いた.


四季花木図屏風 鈴木其一

私の思う琳派作品とは少し異なっていたのが印象的であった.

多少,狩野派の要素を感じるような….

鈴木其一の作品はあまり見たことがないので,今後もっと見ていきたい.


伴大納言絵巻 下巻

中巻は見ることができなかったのが残念である.

下巻では伴善男が連行されていくわけであるが,彼の姿は牛車に乗り込んだ袂しか確認できない.

そう考えると上巻の謎の男は伴善男ではないような気がする.

作者は伴善男の姿をあえて描かないという意図があったのではなかろうか.

そう考えると「伴大納言絵巻」と題しておきながら,姿は一切描かれないという絵巻になるわけで,また,何かしらの意図を感じないでもない.


その他,禊図屏風 伝尾形光琳や八ッ橋図屏風 酒井抱一など,既に鑑賞したことのある作品も展示されていた.

この美の祝典では出光美術館の所蔵品のすごさを感じさせていただいた.

また機会があれば是非,伴大納言絵巻 中巻も鑑賞してみたい.


by Allegro-nontroppo | 2016-06-26 22:22 | 博物館
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