幕末展を鑑賞に東洋文庫ミュージアムに出かけた. 幕末については最近,興味が薄れていたのだが,前回の大地図展が素晴らしかったので,是非,見てみたいと思った次第である. 今回もMAの方の解説を聞くことができた. 以下概要である. 甲骨卜辞片 私のように不器用な人間にはよくきれいに文字を刻むことができると感心するばかりである. 実際に刻まれた甲骨文字を見るのは珍しいように思う. 論語集解 (1315年転写) 論語につけられた注釈を集めて編集したものということである. 論語の基準的なテキストと諸本を照らし合わせた書き込みや漢文の読み方を示す当時の符号が書き込まれており,当時の論語の理解に対する研究への手がかりとなっているとのことである. 前回展示されていた古文尚書と同じように当時の研究に有用なものが貴重とされているのだろう. 魏志倭人伝 (1739年刊) 江戸時代の日本人にも魏志倭人伝の需要があったと思うと魏志倭人伝の研究の歴史を感じる. 展示されていたページは最も議論になっている倭国や邪馬台国の位置について書かれた部分であった. 隋書 (1739年刊) 展示ページはあの「日出ずるところの天子,書を日没する処の天子に致す」で有名な小野妹子の第二回使節団来朝である. 知っているエピソードが展示されているとやはり嬉しい. 日本書紀 (1599年刊) 大型木製活字ということである. この日本書紀,上記,魏志倭人伝や隋書は当時,一体何部ほど発行されたのであろうか. 文選集注 (10-12世紀) 科挙受験生の必読書であったという. 本巻は文選の代表的な注釈を集めて再編纂されたものということである. 注を選んだ人の解釈が書き加えられているということで,当時の日本で漢文学がどのように読まれていたのかが分かるとのことだ. 国宝である.
源氏物語絵抄 (18世紀頃書写) どのような人が作成したのであろうか. 幕末展 誰もが知る出来事や人物ゆかりの史料を通し,幕末史が紹介される. アヘン戦争図 (1843年刊) 二種類のアヘン戦争図が展示されているがこの二つは少々異なる部分がある. 右下の小舟が消されたのはまるで小舟から発砲しているように見えるので消された可能性があるのではないかということ. ペリー久里浜上陸図 (1853年頃) ペリーの姿は基本的に怖ろし気な姿で描かれていることが多いように思うが,この絵はとても可愛らしい姿で描かれている. 意図的なものがないとすれば,写実的に描かれているということだ. 興味深い. 清国咸豊乱記 (書写年不明) 吉田松陰という人は獄中でも活発的に活動していたのだと思い知らされる. 和英通韻以呂波便覧 (1868年) 発音はざっくりとしているが,考えてみればあまりナチュラルに発音できなくても,相手が付き合ってくれさえすれば通じたりするものだから,海援隊もざっくりとした発音で外国人と渡り合っていたのかもしれない…などと考えながらながめるのも面白い. 高麗史 (1451年成立) 今回展示されたものは,勝海舟の蔵書であったもので,「勝安房」の蔵書印が押されている. 本の貸し借り等あったのだろう. どんな人に貸し出されたのか気になるところである. 日本外史 (1848年) 日本外史は必ずしも客観的な歴史事実が書かれているわけではないというふうに聞く. 一度,実際に読んでみて,内容を確認してみたい. 以上である. 幕末展以外の展示もかなり楽しめた. 幕末展の方も,例えば今年の江戸東京博物館での特別展 花燃ゆや幕末を中心とした博物館であれば,遊就館,京都の霊山博物館,そして鹿児島の維新ふるさと館などとは一風変わった展示で非常に勉強になった. 次回は解体新書に関する展示とのこと. 正直なところ解体新書に関してはあまり興味がないが,また新たな発見もあるかもしれないので,時間があれば出かけたい.
by Allegro-nontroppo
| 2015-12-23 18:30
| 博物館
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