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日本国宝展-祈り,信じる力-@東京国立博物館

まずはこの写真.

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次はこの写真.

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そしてこの写真.
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というわけで,東京国立博物館「日本国宝展」に行ってきた.

もう一週間以上前のことである.

印象深かった展示物の感想を記す.


正倉院宝物

期間限定で正倉院宝物が出品されていたのだ.

正倉院宝物は通常,毎年この時期に奈良国立博物館で開催されている「正倉院展」でのみ,見ることができる.

これは曝涼(宝物の「虫干し」のことで定期的に行われる)の期間に特別に出品されているということで,管理上,これ以外の時期に正倉院から出すことはできないのだと私は理解している.

日本の首都たる東京で見ることのできないことに不満を感じておられる方もいるとのことだが,未来へ保存していくことを考えれば,どうぞ奈良まで行くなり,諦めるなりしていただくほかないと思う.

以上のような事情ながら,今回は天皇皇后両陛下傘寿記念ということで「日本国宝展」に出品されることになった.

ラッキーである.


楓蘇芳染螺鈿槽琵琶

この琵琶は何年か前の「正倉院展」で目玉となっていたのではなかろうか.

まず,大きさに驚いた.

弦側に絵が描かれているのみでなく,裏側やペグ(琵琶だと正式名称は違うかもしれない)の部分にまで螺鈿が施されている.

東大寺の法要などで使用されたのではないかという解説があった.


第1章 仏を信じる

玉虫逗子

玉虫逗子が何故法隆寺に納められているかという疑問はひとまず置いておく.

各面の仏教説話は「海龍王経」に基づくものとのことで,龍王が捨身をおこなったことと関連し釈迦の捨身図などが描かれているという.

なお,玉虫の羽を見つけることはできなかった.


東大寺金堂鎮壇具

(1)金銀荘大刀(陽剣)

(2)金銀荘大刀(陰剣)

明治時代に東大寺敷地から発掘されたこの遺物が何年か前に調査の結果,正倉院より持ち出された「陽剣」と「陰剣」の可能性が高いと話題になったことを覚えている.

国宝指定されていたとは思わなかった.


餓鬼草紙

何故か妙に印象的であった.

生活感とか生々しさなどが伝わってくるからであろうか.


金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 

金光明最勝王経の文字一つ一つで宝塔が描かれている.

その苦労など考えると非常にありがたい気持ちになる.


第二章 神を信じる

土偶

縄文のビーナス

合掌土偶

縄文のビーナスは教科書などでもお馴染である.

合掌土偶は「発掘された日本2014」にも出品されていたので再見.


内行花文鏡(11号鏡)

糸島市平原遺跡出土ということは伊都国王の墓から出土したものであろう.

写真・話には聞くが,実物が見れるなどとは感動ものである.

今まで色々な鏡を見てきたが圧倒的に大きい.

当時の伊都国王の力が分かるというものである.


第三章 文字,記録にみる信仰

日本書紀 巻二十二

特に展示されていたのは聖徳太子の部分である.

現代語訳で読んだことがあるためか,漢文であっても難なく読むことができる.


日本霊異記

こちらも漢文ではあるが,読んでいない話の部分が展示されていたようで,内容はうまく理解できなかった.

非常に残念.


第四章 多様化する信仰と美

花鳥図 狩野永徳筆

松に秋草図 長谷川等伯筆

戦国時代の二大画家の作品が並んでいる.

どちらも素晴らしいが私の好みはやはり琳派であると改めて思った.


琉球国王尚家関係資料

黄色地鳳凰瑞雲霞文様紅型紋紗衣装

沖縄の民俗衣装として思い浮かべるならばこのような衣装であろう.

ただし,鳳凰や瑞雲など非常に王族らしい図柄である.


黒漆雲龍螺鈿東道盆

この螺鈿は青と紫色を主体とした螺鈿細工であるが,このような色は琉球独特のものであるとのことであった.

確かに初めて見た.

そして非常に美しいのである.


第五章 仏の姿

元興寺極楽坊五重小塔

これはいったい何のために作成されたのか非常に気になるところである.

建築物にはあまり興味はないが,それでも「おおっ」と思わせてくれる.


善財童子立像・仏陀波利立像

一番新しく登録されたのがこの二体の仏像とのことである.

善財童子立像は今回の「日本国宝展」のマスコットキャラクターのような存在でもある.

しかし,実物は動きのある御姿ながら,どこか静かだ.

作者は快慶とのことで,「高野山の名宝」展で感じたことそのままである.

さすがだ.



美しいものは他にもたくさんあったが,素晴らしいとか美しいとしか言いようのないものは今回割愛した.

このようなところに語彙力のなさや,知識の薄さが露呈してしまう.

さて,展示物以外の全体についての感想である.

平日の昼間に訪れることができたのではあるが,絵巻などの展示は少々待たないと近くで見ることは叶わない.

とても混雑していたと言えるであろう.

また,ガラスケースは指紋でベタベタである.

ガラスぶきをされている清掃員?の方を見かけたので清掃の頻度が足りないということではないと思う.

酷いのはガラスケースに直接,指をさして長々と連れの方と喋っていた方である.

ガラスケースに触れないというのはどこの美術館・博物館でも最低のマナーとは思うが,今回の「日本国宝展」ではそのマナーを御存じない方が多数来場していたということであろう.

そもそも,トーハクは面白い特別展が多いので似たような光景は多々見られる.

トーハクも大変だとは思うが,そろそろ注意喚起に乗り出しては貰えないだろうか.


張り紙などしてもらうだけでも,こちらもそのような場面に出くわしたときに注意しやすくなるのだが.

追記
このブログ記事は日本国宝展 前期の感想である.
後期も行ってきたので,その感想は下記記事に記す.

日本国宝展ー祈り,信じる力ー@東京国立博物館 再び




by Allegro-nontroppo | 2014-11-09 19:03 | 博物館
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