遺物と3Dプリンター


3Dプリンターで製作した銃による銃刀法違反が適用され,大学職員が逮捕された事件は記憶に新しい.

私は銃も3Dプリンターも詳しくないので,この事件における詳細をよく理解できているとは思えないが,どうやら拳銃に使われる部品を3Dプリンターで作成し,その部品を組み立てて拳銃を作成したようで,この拳銃には殺傷能力もあったらしい.

一方,3Dプリンターは液体樹脂に紫外線を照射し,硬化させる方式や熱で融解させた樹脂を積み重ねる方式,そして粉末樹脂に接着剤を吹き付ける方式などがあり,現在は製造の分野で普及しているようだ.

個人的な意見としては今後,医療の分野でさらなる普及が見込まれるのではないかと思っている.


この3Dプリンターが考古学の分野でも用いられているという.

以下,読売新聞の記事(HPこちら→)を引用する.

静岡県・原分古墳(7世紀初め)で出土した鉄製大刀のさびに覆われた柄頭(握り部分)について、村上隆・京都美術工芸大教授(金属史)が3Dプリンターを使い,さびのない状態の復元品を製作した.今後,さびに覆われた鉄製刀剣の銘文の解読などへの活用が期待できるという.

柄頭は高精度の透視画像が得られる装置「エックス線CT」で,精密な渦巻き文の銀象眼が施されていることが判明している.だが,さびが進んでもろいため,象眼を研ぎ出して実際に確認することはできず,コンピューター上の画像で観察するしかなかった.

復元品は樹脂製で,黒地に象眼部分を灰白色に着色.細い銀糸をよって鉄地にはめ込んだ細部まで実体化できた.村上教授は今後、埼玉稲荷山古墳出土鉄剣のような,さびに覆われた鉄製刀剣の銘文復元などに活用できるといい,「3Dプリンターが文化財研究に有効な手段であることを改めて示せた」と話している.

3Dプリンターでは,村上教授が今年1月,三角縁神獣鏡の復元品を製作し,光を反射して文様が浮かぶ魔鏡現象が起きることを明らかにしている.


柄頭の復元もおもしろいが,三角縁神獣鏡の魔鏡現象は是非とも見てみたいものである.

Dプリンターで作成された復元品ならば私のような「一般の歴史ファン」でも実際に手に取る機会が巡ってくるかもしれない.

その時には「銅鏡」,「銅鐸」の復元品など手に取ってみたいものである.

「漢委奴国王」の金印の復元品など作成し,実際に印を押すことのできる体験コーナーなどあってもおもしろそうである.

今後,3Dプリンターの使用がどのように普及していくか分からないが,研究者以外の一般人にも恩恵を受ける日が来ることを期待したい.


追記

埼玉稲荷山古墳出土鉄剣については,刀鍛冶の方が当時の製法で作成した模造品が存在している.

この場合は3Dプリンターで作成するよりも刀鍛冶作成の模造品の方が遙かに価値があると思う.

やはり,ケースバイケースということであろう.


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by Allegro-nontroppo | 2014-07-06 19:05 | あれやこれ
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